賃貸物件の害獣被害、費用は大家と入居者どちらが負担?|家賃減額・敷金精算まで【2026年】

賃貸物件の害獣被害、費用は大家と入居者どちらが負担?|家賃減額・敷金精算まで【2026年】

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害獣駆除情報メディア編集部

害獣駆除業者の比較・料金情報を専門に扱うメディア。掲載する数値は各社の公式サイトで一次確認したものだけに限り、確認できない実績値は載せません。法令・制度は e-Gov 法令検索、環境省、消費者庁、国税庁の一次情報を出典としています。

賃貸アパートの天井裏で物音がする、壁にシミが広がっている。原因が害獣だと分かったとき、多くの人が最初にぶつかるのが「この費用、自分が払うのか、大家が払うのか」という疑問です。

この問いに対して「大家負担のパターン」「入居者負担のパターン」を並べて二択で説明する記事は多くありますが、現実の被害は経年劣化と生活習慣が両方絡むグレーゾーンであることが少なくありません。この記事では、費用負担の原則を条文にもとづいて確認したうえで、二択では処理しきれない「双方に落ち度があるケース」の考え方、そして競合記事があまり扱っていない「被害中の家賃は減額できるか」「火災保険は使えるか」「退去時の敷金精算にどう影響するか」まで、一次情報で確認できた範囲だけを整理します。

駆除そのものの費用相場は害獣駆除の料金相場、業者の選び方は害獣駆除業者比較で解説しています。

費用負担の原則は民法606条にある

賃貸借契約における修繕義務の原則は、民法606条に定められています。第1項は次のとおりです。

「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。」

つまり原則は大家(賃貸人)負担で、例外として入居者の帰責事由による場合だけ入居者負担になる、という構造です。第2項では「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない」とも定められており、大家側が駆除・修繕のために立ち入り調査を行うこと自体を入居者が拒否することはできません(出典:民法第606条(Wikibooks 法令集))。

入居者側の責任が問題になる場面では、民法400条の善管注意義務が根拠になります。同条は、特定物の引渡しを内容とする債務者が、契約その他の債権発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもってその物を保存しなければならないと定めており、賃貸借では入居者が部屋を注意深く使用・保管する義務の根拠として引用されます(出典:民法第400条(Wikibooks 法令集))。生ゴミの放置や、換気を怠ったことによる被害拡大は、この善管注意義務違反として入居者負担の根拠にされます。

大家負担・入居者負担・按分の判断フロー

原則と例外を実際の被害原因にあてはめると、次の3パターンに分かれます。多くの解説記事は①と②の二択で説明していますが、実務では③のグレーゾーンが珍しくありません。

賃貸の害獣被害、費用負担の判断フロー被害原因が経年劣化・構造上の欠陥・共用部からの侵入なら大家負担、入居者の行為による過失なら入居者負担、両方が関与している場合は費用按分で交渉するケースが多い。STEP 被害の原因を特定する(現地調査)① 経年劣化・構造上の欠陥・共用部から の侵入・入居前から存在した被害→ 大家負担(民法606条1項の修繕義務)入居者の帰責事由がないため原則どおり② 生ゴミ放置・窓の開けっぱなし・入居 者自身が開けた穴などの過失→ 入居者負担(民法400条 善管注意義務違反)帰責事由が入居者側にあるため例外が適用③ 老朽化した壁の隙間+生ゴミ放置など、 双方の要因が重なっているケース→ 費用按分(折半など)で交渉する実務が多い条文に按分割合の定めはなく、話し合いが前提「二択で断定できない被害」が実務では起きる
費用負担は現地調査で判明した被害原因をもとに個別に判断される。①②の分類根拠は前章、③の按分の考え方は後述を参照。

①か②かを判断する材料は、原因が「入居前からあったか」「構造上防げなかったか」「入居者の生活習慣によるものか」の3点です。現地調査の報告書に、侵入経路と被害発生時期の推定が記載されているかどうかが、交渉の出発点になります。

被害で部屋が使えない間、家賃は減額できるか【民法611条】

費用負担の議論に隠れて見落とされがちなのが、「駆除・修繕工事の期間中、家賃はどうなるのか」という論点です。ここで根拠になるのが民法611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)です。

同条は、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料はその使用収益できなくなった部分の割合に応じて減額されると定めています。2020年の民法改正により、借主からの請求を待たずに当然に減額される規定に変わりました(改正前は請求が必要でした)(出典:民法第611条(Wikibooks 法令集))。

民法611条・2020年改正前後の比較改正前は借主からの減額請求が必要だったが、改正後は請求を待たずに使用収益できなくなった部分の割合に応じて賃料が当然に減額される。部屋の一部が使用収益できない状態(害獣被害で1室が工事のため使用不能 等)→ 使用不能な部分の割合に応じて賃料減額の対象改正前(〜2020年3月)賃借人からの減額請求が必要請求しないと減額されない改正後(現行・2020年4月〜)請求は不要割合に応じて当然に減額法律上、自動的に減額される減額の割合・金額は個別事情によって決まるまずは被害範囲・使用不能期間を書面で記録し、大家・管理会社と協議のうえ合意内容を書面化する
減額割合の算定基準を示す公式資料は確認できていないため、具体的な割合・金額は掲載していません。個別の交渉が前提です。

注意したいのは、減額されるのはあくまで「入居者の責めに帰することができない事由」による場合という点です。前章の①(大家負担パターン)に該当する被害であれば主張しやすい一方、②(入居者の過失によるパターン)では減額を主張する立場が弱くなります。減額割合を一律に示す公式資料は確認できていないため、金額の目安は掲載せず、被害範囲と使用不能期間を書面で記録し、大家・管理会社と個別に協議することを勧めます。

双方に落ち度があるとき — 費用按分という現実解

前章の判断フロー③のように、大家側の要因(経年劣化・構造上の欠陥)と入居者側の要因(善管注意義務違反にあたる行為)の両方が被害の発生・拡大に寄与しているケースは、現実には二択のケースより多いとも言われます。壁に元々あった小さな隙間(大家側の要因)を、入居者が生ゴミを放置したこと(入居者側の要因)で害獣が定着してしまった、という組み合わせが典型です。

民法には按分割合を数値で定めた規定はなく、寄与度に応じて話し合いで決めるのが実務です。折半で合意するケースもありますが、割合は個別の事情(被害の広がった時期、放置期間、構造上の欠陥の程度など)によって変わります。話し合いを始める前に、現地調査の報告書で「大家側の要因」と「入居者側の要因」を分けて記録してもらうことが、按分交渉の土台になります。

費用負担の見通しが立った段階で、実際の駆除・修繕を進める業者選びについては害獣駆除おすすめ業者で解説しています。特に賃貸物件では屋根裏に住み着くハクビシンのケースで、この按分交渉が長引きがちです。

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火災保険は使えるか — 借家人賠償責任保険・施設賠償責任保険

費用負担の議論と並行して確認しておきたいのが保険です。入居者側が加入する火災保険には借家人賠償責任保険の特約が付いている場合があり、大家側は施設賠償責任保険に加入していることがあります。ただし対象となる事故の範囲は保険ごとに異なります。

一般的には、害獣の駆除作業費そのものは補償対象外とされることが多い一方、害獣によって生じた建物の損傷(天井の破損、配線の損傷など)の修繕費用は、契約内容によって補償対象になる場合があります。どちらの保険が使えるか、また実際に補償されるかどうかは保険会社ごとの契約内容次第のため、この記事で一律の可否は断定しません。証券番号を手元に用意したうえで、入居者は自分の火災保険会社に、大家は管理会社経由で保険会社に、それぞれ被害状況を伝えて確認してください。

退去時の敷金精算に害獣被害はどう影響するか

在居中に費用負担の話し合いがつかないまま退去時期を迎えると、敷金精算の場面で害獣被害の修繕費用が争点になることがあります。考え方は在居中の費用負担と基本的に同じで、被害の原因が入居者の善管注意義務違反にあると判断されれば、修繕費用が敷金から差し引かれる可能性があります。逆に、経年劣化や構造上の欠陥、共用部からの侵入が原因であれば、通常の使用に伴う劣化と同様に大家負担となるのが原則です。

国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、経年劣化・通常損耗は貸主負担、入居者の故意・過失や善管注意義務違反による損耗は借主負担、という考え方の枠組みを示しています。敷金精算の明細に害獣被害の修繕費用が含まれている場合は、その原因が入居者側の善管注意義務違反にあたると判断された根拠(現地調査報告書など)の開示を管理会社に求めてください。在居中に原因を書面で記録しておくと、退去時の精算で揉めにくくなります。

交渉が進まないときの相談先

国民生活センターが2024年4月24日に発表した資料によれば、害虫・害獣駆除サービスに関する消費者トラブルの相談件数は、2023年度が2022年度と比べて約1.5倍に増加しており、特に10〜20代の相談が急増していると報告されています(出典:国民生活センター「害虫・害獣駆除サービスのトラブルに注意」)。この資料自体は主にネット価格と実際の請求額の乖離を扱ったもので、賃貸の大家・入居者間の費用負担トラブルへの直接の言及はありませんが、駆除サービスをめぐるトラブル全体が増加傾向にあることは押さえておく価値があります。

管理会社や大家との交渉が平行線をたどる場合は、次の順序で相談先を広げてください。

  • 被害状況と交渉経緯を書面化する:メールでのやり取りを基本にし、電話で話した内容も後でメールに要約して送っておく
  • 消費生活センターに相談する:消費者ホットライン188(いやや)に電話すると、最寄りのセンターにつながります
  • 都道府県の宅地建物取引業に関する相談窓口を確認する:賃貸借契約に関する紛争のあっせんを行う窓口が用意されている場合があります
  • 内容証明郵便で正式に請求する:口頭・メールでの交渉が進まない場合、費用負担や修繕の実施を正式に請求した記録として残せます

※ 弁護士への相談が必要かどうかは金額規模や争点の複雑さによります。個別の法的判断は弁護士または消費生活センターにご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 害獣被害で部屋の一部が使えない期間、家賃の減額(値引き)を大家に請求できますか?

A. 請求できる可能性があります。民法611条は、賃借物の一部が使用収益できなくなった場合、それが借主の責めに帰することができない事由によるものであれば、使用収益できなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されると定めています。2020年の民法改正により、借主からの請求を待たずに当然に減額される規定になりました(改正前は請求が必要でした)。減額幅は被害範囲や使用不能期間によって個別に判断されるため、まずは管理会社・大家に被害範囲を書面で伝え、協議してください。

Q. 大家と入居者の両方に過失がある場合(例:老朽化した壁穴と生ゴミ放置が併存)、費用はどちらがどれだけ負担するのですか?

A. 民法に明確な按分割合の規定はなく、個別の事情に応じて話し合いで決めるのが実務です。大家側の要因(構造上の欠陥・経年劣化)と入居者側の要因(善管注意義務違反にあたる行為)の両方が被害の発生・拡大に寄与したと考えられる場合、双方の寄与度に応じて費用を按分し、折半で合意するケースもあります。話し合いで決着しない場合は、後述の相談窓口を利用してください。

Q. 借家人賠償責任保険や大家の施設賠償責任保険で、害獣駆除・修繕費用はカバーされますか?

A. 契約している保険の補償範囲によります。害獣の駆除作業費そのものは対象外とされることが一般的ですが、害獣によって生じた建物の損傷(天井の破損、配線の損傷など)の修繕費用については、契約内容によって補償対象になる場合があります。借家人賠償責任保険は入居者が加入する火災保険の特約、施設賠償責任保険は大家が加入する保険で、対象となる事故の範囲が異なります。判断は保険会社ごとに異なるため、必ず証券番号を用意して保険会社に直接確認してください。

Q. 退去時、害獣被害による修繕費用が敷金から差し引かれることはありますか?

A. 被害の原因が入居者の善管注意義務違反(生ゴミの放置や不適切な使用など)にあると判断された場合は、修繕費用が敷金から差し引かれる可能性があります。一方、経年劣化や建物の構造上の欠陥、共用部からの侵入が原因の被害は、通常損耗・通常の使用に伴う劣化と同様に大家負担となるのが原則です。差し引きの内容に納得できない場合は、原因の特定根拠(現地調査報告書など)の開示を求めてください。

Q. 管理会社や大家が『対応しない』『費用負担を拒否する』場合、どこに相談すればよいですか?

A. まずは被害状況と交渉経緯を書面(メールや内容証明郵便)で記録したうえで、最寄りの消費生活センターに相談してください。消費者ホットライン188(いやや)に電話すると、最寄りのセンターにつながります。契約や取引に関する紛争のあっせんを行う窓口として、都道府県の宅地建物取引業に関する相談窓口が用意されている場合もあります。感情的な対立になる前に、第三者を交えた記録を残すことが解決への近道です。

被害に気づいたら、まず何をすべきか

費用負担が誰になるかは、被害原因の特定が終わるまで確定しません。物音や被害の痕跡に気づいたら、次の順序で動いてください。

  1. 被害を放置しない:判断フロー①②③のどれであっても、被害拡大は誰にとっても不利益です。まず管理会社・大家に連絡し、現地調査を依頼してください
  2. 原因の記録を残す:現地調査の報告書に、侵入経路・被害発生時期の推定・原因の分類が記載されているかを確認してください。これが費用負担・家賃減額・敷金精算すべての交渉の土台になります
  3. 使用不能な範囲を書面化する:民法611条の家賃減額を主張する場合、どの部屋・どの範囲が使えないかを記録しておく必要があります
  4. 保険の確認を並行して進める:入居者は自分の火災保険、大家は施設賠償責任保険の補償範囲を、それぞれ保険会社に確認してください
  5. 交渉が進まなければ第三者を入れる:消費生活センター(188)や宅地建物取引業の相談窓口を早めに使うことで、対立が長引くのを防げます

どちらが費用を負担するにせよ、駆除・修繕そのものを先延ばしにするほど被害と費用は膨らみます。費用負担の交渉と並行して、業者への依頼も進めてください。

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